俳句 令和6年6月10日~6月16日

若夏やクレーン車吊るクレーン車

答え無きテストのやうに草を刈る

夏の夜や野菜不足は大根で

    
            晴

小熊座の東京の句会で「若夏や」の句と「答え無き」の句が
高野ムツオ先生の選に入りました。
ありがとうございました。

「若夏や」〇高野ムツオ先生選評
「いろいろ読みのある句で面白い。あるなら、危ない情景。
このアナロジーは、沖縄の季節感と合わせると沖縄が日本を
吊ってどこかへ行くようなところまで考えてしまう。」

「答え無き」〇高野ムツオ先生選評
「答え無きは表現に少し無理があるが比喩的に合わせた所は
刈る様子、汗たらすとか実感が分かるので少し類想性がある
が、十分。上五は「答えが出ない」など、少し考えた方がよ
い。」

「夏の夜や」高野ムツオ先生選評
「晴さんが書いたものなら納得。」

松橋晴自解
「若夏」は沖縄発の季語。春と夏の変わり目の沖縄で一番
過ごしやすいすがすがしい季節だ。しかし天候は変わりや
すく、荒々しく、生命力を感じる季節でもある。クレーン
がクレーン車を持ち上げている映像を見て、面白いなと思
いながらもその現代を象徴するような危うさも感じた。沖
縄が大和(沖縄の人たちは日本をそうよぶ)を吊っているの
か、大和が沖縄を吊っているのか、はたまたアメリカがそ
うさせているのか、沖縄の微妙な危うい立ち位置とまたそ
こにある生命観をとりあわせた句だ。
「答え無き」は私の実感。自宅の玄関脇の1m×3mほどの
狭い庭がいつの間にか私のテリトリーになっている。前か
ら植えてあった名前もわからない花、菫、好きで植えた野
紺菊、オリーブの苗木、キンカンなどが雑然と生えている。
そこに侵入してくるのが俳句で十薬とも言われるドクダミ、
やぶからし、つゆ草等の雑草だ。ドクダミは嫌いではない
があまりに強く排他的で迷惑なので退治するしかない。つ
ゆ草はすきなのだけれど何故かブヨが多くたかっていて、
一度ぶちぶちに刺されたので少し遠慮してもらい端に少し
残すだけにしている。雑草も嫌いではないのでほどほどに
残っていてかまわないのだけれど、彼らはほどほどを知ら
ない。というわけでその庭は、私の机や仕事場と同じにい
つもカウスだ。それがまさに「答え無き」なのだ。

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