俳句  令和7年10月27日~11月2日

ふらんす堂吉祥寺句会の結果
ふらんす堂2025年10月吉祥寺ネット
句会に始めて投句し、1句佳作に選ば
れました。
選者は俳壇の若きリーダーで、結社
「鷹」の編集長、NHK俳句の選者でも
あった高柳克弘先生です。
全句に講評をしていただけ大変に勉強
になりました。
俳句にあまり関心のない方にも興味深
いものではないかと思いご紹介します。

亡き人の夜をほほゑむ鶏頭花   晴

「夜になると思い出すひとがいる。その
顔はいつも笑顔なのです。鶏頭の取り
合わせで、その人との浅からぬ関係が
見えてきます」 高柳克弘先生 佳作
季題の鶏頭で作った句です。
夜、暗い夜道を運転している時に懐か
しい人たちの顔が次々に浮かんできま
した。あちらの世は楽しいのかな、そろ
そろお迎えが来たのかななどと思い作
句しました。句意をくんでいただきありが
とうございました。

この風を古の風銀やんま    晴

「あまりひねらずに「この風は古の風」で
良いのでは。銀やんまのかがやきが見
えます。」  高柳克弘先生 選評
少し前に銀やんまをひさびさに、たぶん
数十年ぶりに見て感動しました。
赤とんぼはす~いすいという感じで飛
びますが、銀やんまはブーンという飛行
音がしそうに雄大に過ぎて行きました。
そのぞくぞく感を句にしたいと思ってい
ました。
暑い夏も終わりかけ、風の中に心地良
さ、命の胎動、宇宙の息吹を感じて、
この風は太古からずっと吹き続けこれ
からも休むことなく吹き続けるのだろう
なと感じました。
初案は「この風は太古から吹く」でした。
説明的で面白くないと「あの風は太古
の便り」にしました。
音韻は「太古」、「便り」、「あの」でA音と
TAの連続で面白いなと思ったのです
が、まだ説明的で「この風を古(いにし
え)の風」にしました。
「を」を使ったのは一瞬の間を作り古か
ら連綿と続く風を感じて欲しいからです。
先生の講評は季語である「銀やんま」を
生かすためのもので句形も美しく、意味
も分かりやすく俳句として洗練された
ものにしていただきました。
ただ私としては「銀やんま」と「太古から
ふく風」を同等の重さにしてみたいとい
う思いがあります。
また「銀やんま」と「古」は少しついてい
ると感じ、大好きな「吾亦紅」に太古の
風を吹かせてみたいとも思いましたが
「銀やんま」の魅力に勝てず初案の通
りにしました。
それなりに苦労して作った思い入れの
ある句ですが、無駄なことにエネルギ
ーを費やしているなと改めて感じ、姿勢
を顧みる良い機会となりました。
 

岩の湯に蜻蛉は覘く白髪首   晴

「「湯にわれの白髪頭と蜻蛉かな」くら
いでどうでしょう。「覘(のぞ)く」とつなげ
てしまうと理屈っぽくなる。」先生選評
初案は「岩の湯に蜻蛉とそよぐ白髪首」
でした。
ほとんど休みなく働いていますが、仕事
から少し遠ざかるため日帰り温泉に時
折逃避します。
露天風呂が多いその温泉によく蜻蛉が
やってきます。
卵を生む場所を探している蜻蛉と白髪
首が場所取りをしているような気もしま
す。
そんなちょっと焦燥感のあるざらっとし
た感覚が句にでています。
それが先生の直しで洗練された俳句
へと変貌しました。
先生の言う「俳句の明るさ」に改めて
ふれる機会となりました。
やはり俳句はこうでなくてはと思います。
2025年10月ふらんす堂吉祥寺ネット
句会・選評より 
     講師・髙柳克弘先生

出品した3句を選評していただきました。
高柳先生とふらんす堂のご厚意により
晴屋の通信、ホームページへの掲載
ができました。
ありがとうございました。
なお、選評の引用は高柳先生、ふらん
す堂の許可が必要です。

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