りんごの小平玲子さんのご逝去

りんごの小平玲子さんのご逝去
晴屋のりんごをほぼ一手に引き受け
て、出荷してくれていた小平玲子さ
んが急にお亡くなりになりました。
農園で作業中に脳の血行の問題が
起きたようです。
ご主人から引き継いだリンゴ園を女
手ひとつで維持してきました。
ずいぶんと無理をされていただろう
と思います。
今年はきっとリンゴは豊作だろうと今
から収穫を楽しみにされていたと聞
きます。
残念な思いと、やれるだけのことは
やり切ったのではという思いが交錯
します。
ほぼ同年代であり、ご主人が主に取
り仕切っていた頃から40年近いお
付き合いでした。
小平さんのりんごはただ甘いだけで
なく、爽やかな野の味がしました。
ご主人から受け継いだその味を保つ
のには大きな努力が必要です。
仕入れセンターの野菜担当者が、
ご主人の範男さんが亡くなった後に
玲子さんが受け継ぐと聞き、「味は
二、三年もてばいい方かな」と言っ
ていました。
それが16年間変わらない味を届け
てくれました。
この後、誰かが引き継ぐことはない
かもしれません。
一人で維持できるように切り詰めた
広さの農園では、生活を維持するの
に必要な収入は見込めません。
これまでの長い苦労を思うと、心が
傷みます。
葬儀に帰っているお嬢さんたちに
聞きたいことがあったので、電話し
てみました。
玲子さんとはスマホやメールでのや
りとりでしたが、久しぶりの家電への
ダイヤルです。
不思議と指が覚えていて、範男さん
が出てくるような気がしてドキドキし
ます。
誰も出ませんでしたが、玲子さんの
ゆっくりだけれど決然としたものを感
じさせる少し低い声が頭の中に響きま
す。
声の記憶、音の感覚は人の深いとこ
ろに根付いて、様々なものをゆり動
かします
小平範男と宮沢賢治に惹かれて、水沢
の地へ北海道からやってきた玲子さん。
本や絵に囲まれた書斎で、お二人から
出会いの由縁を伺った時の、ゆるやか
な時間が思い出されます。
りんご園を続けることは範男さんの願い
であり、玲子さんの夢でもあったでしょ
う。
ひとつの時代の終わりが来ていることを
感じさせられます。
ご冥福を祈り、長い間ご苦労様でしたと
いつか岩手に行ってお伝えしたいと思っ
ています。

 

 

2004年に書いた小平範男さんの
文章をご覧になりたい方は以下の
URLをクリックしてください。
松田さんの後に、3篇載っています。

 

http://hare0808.com/2019/10/05/作る楽しさ耕す人たち-その1-%e3%80%80%ef%be%8f%ef%be%96%ef%be%88%ef%bd%b0%ef%bd%bd%ef%be%9eの松/

 

 

 

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