旬の音楽 梅雨明け三日のヘンデル

旬の音楽 梅雨明け三日のヘンデル
うっとおしい梅雨が開けるとそこには
清々しい光が充ちている。
梅雨明けの三日間はそうした日が続
くと云われていました。
しかし最近は天候が不順で、そんな
心地よい天候もなくいきなりの酷暑
や荒々しい気候がやってきます。
それでも今年こそは気持のよい日が
やってくると期待して、梅雨明け三日
にぴったりの音楽をご紹介します。
ヘンデルは、活躍していた当時には
バッハ以上に有名でした。
音楽的レベルも高く、イタリアの様式
を巧みに取り入れ、音は一瞬の緩み
もなく前へ前へと進みます。
壮麗で、飛翔する躍動とうっとりする
叙情が交互にやってきて、その心地
良さにはまると、抜け出せなくなる快
感があります。
創作の苦労を一切みせず、ひたすら
感覚が開放されます。
そのため人間的な苦悩などどこにも
見えず、バッハやベートーベンのよう
な芸術性は感じられません。
また野心的な人でもあり、うまく立ち
振舞って自分を売り込むのも得意で
した。
ドイツのハノーファ選帝侯に仕えて
いたヘンデルは不義理をして英国王
のところへ来てしまいました。
しかし英国王の死後迎えられたのは
そのハノーファ選帝侯・ジョージ1世で
す。
さすがのヘンデルも焦ったでしょう。
そして歓迎のテムズ川での船遊びの
時のために作ったのが「水上の音楽」
です。
あまりの素晴らしさに3度も演奏された
といいます。
ヘンデルの面目は保たれました。
おすすめの演奏はジョージ・セルが
指揮したロンドン交響楽団によるもの
です。
ヘンデルの持つ大らかさと、逞しさ、
伸びやかな叙情と胸に迫る哀愁が
私たちの感性を解き放ち、雲一つ
ない大空に飛翔します。
バッハやヘンデルの音楽は時代考
証の経た古楽器によるものがすでに
スタンダードです。
ピノックやガーディナー、アーノンクー
ルらの演奏も大好きなのですが、それ
らを合わせてもセルにはかないません。
梅雨明けやその合間にこれほど合う
音楽はないでしょう。

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