武山こゆき句集「ヴィヴァルディ」

炎環同人の武山こゆきさんに句集を
送っていただきました。

牛蒡笹掻くヴィヴァルディ聴きながら

春雷や手ににぎりしむ種ひとつ

菜の花の鼻の高さに匂ひれり

茎立や余生にしたきこと二つ

郭公や湯船にひらく十の指

敗戦日飯粒ひとつづつ光る

穏やかな言葉が選ばれ、嫋やかな空気に
つつまれます。
難しい言葉、厳しい表現などの強い物に
頼らずに微妙なあわいを物に託して心情
が詠まれています。
数詞が多いのもこの作者の特徴で、内な
る知的な側面を感じさせます。
その中で「牛蒡笹掻く」の句は、カ行の
「牛蒡」「掻く」「聴き」の連続が強い
印象を与え、心に残りました。
赤毛の司祭として貧しい子供たちを集め、
音楽をすることで共に生きる道を選んだ
ビィヴァルディの生気あふれる音と、食
の国であるイタリアと牛蒡の意外な取り
合わせなどを楽しめました。
ありがとうございました。

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