バリの海と太陽と風の恵み 原始の記憶を呼び戻す塩

バリの海と太陽と風の恵み
原始の記憶を呼び戻す塩
天日乾燥の塩の作り方は、主に2種類あります。
入浜式は、海水を塩田に引き入れて乾燥させます。
この塩を作っているのは揚げ浜式といって、人手で海水を砂浜
まで担いで、撒いて作ります。
強い太陽の光と熱、浜を吹きぬける風で、海水はすぐに結晶に
なり、薄い塩せんべいのような物が出来ます。
これを集め、風呂桶のような木の濾し樽に入れて、海水でいったん
溶かします。
砂や塵を分離しながら椰子の根元をくり抜いた瓶のような物に溜
めます。
また、塩せんべいを作って、濾し樽に入れ、今度は椰子の瓶に溜
まっている濃い海水を入れ、これを4工程やって、濾しながら次第
に濃い海水を作っていきます。
最後に椰子の幹をくり貫いた、舟型の浅い桶に注いで、太陽と風
の力で、残った水分を飛ばします。
途中で雨が降れば、椰子の葉で作った屋根をかけます。
ここまで、きれいな海水と砂浜、強い太陽と浜風、美しく大きな椰
子の木と昔からの人の手の助けがあるだけで、化学的な物や機
械や化石エネルギーなどが、全く使われていません。
そして、一番最初に濃い海水の中に浮かぶ美しい花のような結晶
が、塩の華です。
緩やかで、豊かな自然そのものの結晶といえます。
噛むとシャクシャクとして解け、口の中に塩気と甘さが拡がります。
独特のうまみや清涼感もあります。
塩マニアの落語家・柳家小三治師匠は、「世界一美味しい塩」と
言って、この塩を一生分買ったそうです。
一度味わうと後戻り出来ない、身体の奥にある原始の記憶を呼び
起こすような味がします。

ミネラルの不思議な力と使い方
活性化したミネラルは、栄養として身体に吸収されやすいという
だけでなく、様々な効果を持っています。
人手をかけて、乾燥を急速にするために、ミネラルのバランスが
変らず、イオン化して活性化したままの状態で含まれているので
す。
晴屋の斜め前にある、自然素材と自家製調味料だけで四川料理
を出している「枉駕」では、「化学調味料の代わりに使う」と言って
います。
ほんのりと深い味のする苦味や甘さが、アクセントになって味を
引き立てるからです。
ただし、塩辛さが少ない分、これだけで味のバランスを整えようと
すると、大量に入れてしまい、ある一線から急に塩辛くなってしま
うので、慣れないうちは他の塩と併用して、補助的に使うのがい
いようです。
私の場合は、煮物やスープにまず最初に鍋に入れて、水の性質
を改善させています。
イオン化したミネラルは、水のクラスターというドロッとした分子集
団の鎖をバラバラにして、活性化したサラッとした水を作ってくれ
ます。
こうした水は浸透がいいため、火の通りや味の沁みるのが早く、材
料のうまみが出やすくなります。
また素材の雑味を抜いて、本来の香りを引き出す力もあります。
水を改善する力はお酒にも効いて、日がたって少しぼけたワイン
の味を戻し、イマイチの味の日本酒の味を改善します。
ほんの一つまみで劇的にかわるのはとても面白い体験です。
生命の源は海であり、ミネラルなのだと実感できる、新鮮で素朴な
驚きがあります。

関連記事

ページ上部へ戻る