俳句  令和4年の9月19日~9月25日

小満や神社の蛇と眼の合ひて

餡蜜や傀儡の開ける赤き口

レシートの分厚い財布半夏生

小満(しょうまん)は秋に蒔まいた麦などの
穂がつく頃で、ほっと一安心(少し満足)
すると言う意味で、初夏の季語。

「餡蜜や」の句が、俳句四季10月号で、
渡辺誠一郎先生に佳作に選ばれました。
ありがとうございました。
餡蜜は「あんみつ」、傀儡は「くぐつ」と
読み、あやつり人形のことです。

「半夏生」も夏の季語ですが、難しく
面白い季語です。
半夏生というどくだみ科の植物もあり、
葉の天辺が白く印象的ですがそれはこの
季節にそうなるために後から名付けられ
ました。
本来は「半夏」という夏至から11日目
から七夕までの5日間のことです。
この時期は食中毒が多いので、井戸の生水
を飲んではいけないとか、この時までに田
植えを終わらさなければならないとか、昔
から様々な言い伝えがありました。
またこの時期に出てくる不思議な植物も
半夏といわれました。
からすびしゃくとも言われ、マムシ草の
仲間で蛇が鎌首をもたげたように見えます。
毒もありますが、球根は漢方薬に使われます。
その球根は臍をへこましたような姿をしてい
るので別名はヘソクリ。
江戸時代は農家の収入はすべてお上に統制
されていたのですが、このヘソクリはそれ
を免れていたために、ヘソクリの語源とな
りました。
農家のおかみさんたちが集めて売ってお小
遣いにしていたのですね。
この半夏が生えていた時が本来の「半夏生」
です。
歴史や自然や生活やいろいろなものを複雑
に背負ったとても不思議で面白い季語です。

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