「健康って何?」を見ました

「健康って何?」を見ました
2017年制作のアメリカの映画、「健康
って、何」を見る機会がありました。
肉食がいかに悪いか、意図的に病気
が作られ製薬会社が利益を得ている
か、飼育の現場がどれだけ悲惨かが
報告されています。
たぶん、すべて本当のことでしょう。
ただどうしても真実の半分という印象
がつきまといます。
砂糖は、植物性なので糖尿病には
悪影響は無いと断定するのも無理が
あるでしょう。
肉でなく、野菜であれば何でもいい
という表現もひっかかります。
農薬やホルモンであるステロイドの残
留はどうなのだろうかも気になります。
私が感じる一番の問題は野菜vs肉、
あるいは野菜or肉という単純化された
構図です。
そこには微生物がほとんど扱われず、
病原菌だけがでてきます。
実際には微生物こそが生態系や生命
の基礎です。
健康な土の中にはスプーン1杯に、
地球の人類と同じ数ほどの微生物が
互いに生かし合いながら生きていま
す。
その中で腐敗という酸化してエネル
ギーを消費するものと、エネルギー
を高める発酵という別の働きがあり
ます。
その力なしには、植物も動物も人間
も生きられません。
西欧は伝統的に、自然を人間と敵対
するものとしてきました。
自然の力に寄り添うことよりも、自己の
確立を求めてきました。
現代の文明はその知的で能率的で
明快なものに惹かれて発達しました。
その中で健康や自立を失っている
現代人の問題を解くのに、より明快
な自己の確立や差別化を求めてい
るように感じます。
ジギル博士とハイド氏、悪魔と天使等
何かを排斥しようとすると、必ず何か
より大きな問題があらわれます。
ひとつの完成した生命としての人間
の健康に生きる力を信じ、選べる中
で最良の美味しいものを楽しんで
感謝して食べることが、唯一正しいこ
とでしょう。
自然の多様さと奥深い神秘を感じる
ことなしに、人間の生存を求めるのは
ただのエゴでしかありません。
肉の過剰、薬剤の摂取もそうした視
点から捉えないと結局はまた、別の
問題とのいたちごっこになります。
そういう意味で私たちは今、危うい場
にたっていると、この映画を見て感じ
ました。
危険性を訴え、告発しているようで、
結局は世の流れにとりこまれます。
晴屋も他人ごとではありません。
無力感と、個別性への逃避だけが
残ります。
この大きな社会で全体にかかわるこ
となど不可能ですが、せめて虚無的
な逃避や何かをケアしているという

自己満足でなく、自然の豊かさや人と
との交流の温かさを実感するかかわ
りの中で生きたいものだと願わずに
いられません。
この映画は逆説的にそのことを感じ
させてくれました。

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