俳句 令和3年の5月31日~6月6日

大根の葉の青々と残りをり

角牛の静けき一歩葱坊主

山古志の滝の行き合ひ「いいんじゃない」

句友のSさんが逝去されました。
夏は故郷の、牛で有名な新潟の山古志村で生活し、冬には朝霞の娘さんの
ところで過ごされていました。
とても実直で、素直な方で、みなさんに好かれていました。
句もそれを体現して、晩年の芭蕉のような力の抜けた味のあるものでした。
生前にいっしよだった最後の句会に出された
「大根の葉のあおあおと抜かれをり」
を見た時、いい句だなと思いながら少し高浜虚子が入っているかなと思い、
選に入れなかったことに悔いが残りました。
追悼に3句つくりました。
抜かれた大根の主がいなくなって、葉だけが青々と残っている寂しさを詠みました。
3句目は、Sさんがとても好きだった男女の出会いの句です。
こうした句をだすと必ず選に入れてくれました。
私もそれが楽しくて、「一本釣り」と笑いながら出句したものです。
「いいんじゃない」はSさんの口癖でした。
もうこうした句を作ることもないでしょう。
ご冥福をお祈りします。

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